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TOP / 2010年 新年のご挨拶

今年はGAPにとって新たな飛躍の年


~GAP 普及ニュース 第11号 2010.1 より~


 明けましておめでとうございます。
 日本のGAPは一つの峠を越えたかもしれません。「十年一昔」と言いますが、片山さん(片山りんご)と木内さん(和郷園)と私(田上)の3人で、2005年1月に開始した「生産者による生産者のためのGAP」の普及活動からすでに5年が経過しました。すべてが昨日今日のように思われているのに、いつの間にかそんなに時間が過ぎてしまいました。
 今や日本では、多くの農業関係者にGAPの言葉が知れわたるようになりましたが、GAPについての考え方はまちまちであり、少々混乱しているようです。GAPは農業そのものの本質的な課題であるにもかかわらず、GAPの意味を議論することもなく、単なるビジネス・ツールや、経営管理の手法であるという捕らえ方しかしていないことに問題があるのではないでしょうか。
 現在、COP15で地球環境が論議されているように、持続的で安心できる社会が求められています。自然環境に深く関わる農業は、食品安全はいうまでもなく、農業由来の環境汚染の問題が指摘され、日本でも重要な農業政策になっているにも関わらず、GAPの意味が正しく理解されていないとすれば、農業関係者だけではなく、日本国民にとっても不幸なことです。
 日本は、明治維新後も、戦後も、慌てて欧米流の社会を創ろうとしました。政治でも、ヨーロッパから法律の体系だけを急遽輸入しますが、それを支えている社会の常識や生活者の習慣というものは全く無視されてしまいます。そこには必ず落差が生まれます。明治維新ではそれらが典型的に現れています。明治政府になるまでは、幕府とか藩における法体系は、その土地の文化や習慣、暮らしの常識によって築き上げられてきた判例だったと思います。しかし、それでは国際社会に通用しないので、慌ててイギリスやフランス、ドイツなど当時の先進諸国の法体系だけを急遽輸入したのです。そのために法律とその社会とが乖離して様々な矛盾が生まれています。
 「五年一昔」前のGAP導入も同じで、ヨーロッパのGAP制度の言葉と体系だけを急遽輸入して慌てて推進したために、基本となる日本の「GAP規範」は準備せず、EU型の「GAP規準」と日本の「農業現場」とが乖離して矛盾が生まれています。
 そもそも、制度や規範、法律などというものは、その社会の習慣と常識から生まれたものです。ヨーロッパの法令は、ヨーロッパ社会の習慣と常識による判例が積み重ねられ、それを一般化して法体系が作られています。当然、ヨーロッパのGAP規範は、ヨーロッパの法令や社会習慣、気候風土と農業形態を前提にして体系化されています。イギリスのGAP規範を翻訳した山田正美さんは、「スチュワードシップ(Stewardship)、クロスコンプライアンス(Cross compliance)、環境規制と免除(Exemption from Environmental Permitting Regulations)の3つの事柄を理解しなければGAPの思想を理解することが出来ない」と言っています。
 GAPの概念が生まれたヨーロッパで、「なぜ生まれたのか」、「その中身は何なのか」、ということを、もう一度しっかりと捕らえてみたいと思います。ヨーロッパのGAPの歴史に学ぶことによって、GAPの本質を見つけることが出来れば、日本のGAPに関する混乱が解消され、日本の農業が目指すべき方向としての「適正農業管理(GAP)」が見えてくると思います。
 これまでGAP普及センターが進めてきた「安全で持続可能な農業生産活動の実践を支援する活動」をさらに強力に推進するために、新年早々に「一般社団法人日本生産者GAP協会」を設立します。人類の永遠の課題である「人間活動と自然環境との調和」を目指す農林水産業を構築するために、農業における基本的な約束事である適正農業規範(GAP規範)およびこれに基づく適正農業規準(GAP規準)を策定する活動を行うとともに、農業現場で行われる適正農業管理(GAP)のあり方とその実践に係る学術的活動およびGAPの普及・啓発活動を行うことを目的とし、積極的な活動を開始します。皆様のご理解とご協力をお願い致します。
 皆様のこの一年が豊かな年になりますように祈念いたします。

田上隆一



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